名前がついているとラクだけど危険

Twitter見てたらこんなのが(正確にはこれを批判したツイートが)流れてきました。

どう交際しているかは2人の自由なので議論の意味はまるで無いのですが、画像1枚目の最初の「〜〜〜な行為は浮気です」に(あくまで個人的に)めちゃくちゃ違和感を感じました。
この方がどうとかいう気持ちではなく、最近考えた一般論を思い出したのでなんとなくブログを書いてみます。
あと最近競技プログラミング以外の記事を書きたいと思っていたところで丁度よかった。

あくまで自分の考えである部分はほとんど「だと思います」みたいな文末にしており、たかが一個人の考え方です。
あと、まとめる作業をしないまま思いついた順に書いたので筋道がバラバラで言いたいことが散らばってしまいました。時間あれば直します。



名前をつける、ということ

固有名詞は置いといて、名前っていろんなものとか現象についてますよね。
ノートパソコン、黒板、車、タピオカ、人間、などこの世に実体として存在していたり、恐怖、四角、甘み、危険、など感覚的だったりします。
厳密な区分があるのかは知りませんが、そういう厳密な議論をする記事ではないのでなんとなく「まぁそうかもな」ぐらいで進んでください。

それぞれのものの名前は、辞書やみんなの共通認識によって指し示す対象が決まって使われています。
そしてある程度は文化圏や世代によらず、知らなくても説明されればその名前が指すものがだいたいわかるようになると思います。
外国語にもだいたい一対一対応で同じものを指す単語が存在しますよね。(この本を思い出した 面白くてめちゃめちゃ読み進めやすいので誰にでもオススメです)

「名前がつく」ということは、よく見るものを他の言葉でいちいち長く説明する手間を省く、ということだと思います。
「キャッサバという大根みたいな芋から作ったでんぷん粉と水と練って熱したあと粒状に乾燥させたもの」っていちいち言うより「タピオカ」という名前をつけた方が今後「タピオカが指すもの」が出てくる話がしやすくなるわけです。

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キャッサバ

モノならこれでただ便利になってはっぴーです。ラクですね。
しかしさっき言った概念的な言葉は定義や辞書の意味を意識することは稀であり、個人が今まで形作ってきた感覚に基づいて使うことが多いと思います。

例えば「怖いってどういうことを指してる?」と聞かれたら説明するのに苦労しますが、みんな多分「怖い」のイメージは似ていると思います。
思い浮かべるもの(怖い対象)が雷、虫、ジェットコースター、おばけ、犯罪、夜道など人によって違うためイメージに個人差がありそうですが、指し示したい心の状態は同じっぽい気がするのでみんな「怖い」という単語が会話や文章で使えますよね。

ただちょっと厄介で議論になりやすいのが「そういう意味は無いのにイメージがひっついている言葉」です。

イメージが意味になり始めると危険

このような言葉の何が厄介かと言うと、「その言葉に結びつくイメージまで誘発されること」だと思います。
ここからしばらく冒頭のツイートで出てきた「浮気」という単語を例にします。

たとえば多くの人は「浮気」に「してはいけないこと」「する人間は信用ならない」みたいなネガティブなイメージがひっついていると思いますが、「浮気」という単語そのものには「ダメなこと」みたいな意味は全く含まれていません。
浮気という言葉は「夫婦または交際関係にあるにも関わらず別の異性に気持ちが移ること」であり、それに伴う「お互いに好きで大切に思っている、という信頼を裏切り相手を悲しませる」という行為に対する「個人個人の考え」が連想されるためにそんなイメージを抱いています。

そしてその「お互いに好きで大切に思っている、という信頼を裏切り相手を悲しませる行為」がダメであるという本質を考えずに「浮気」というのはダメな行為である、と短絡して決め込んでしまっていることがめちゃくちゃ危険です。
手段と目的が入れ替わっている、というやつに似ています。

会議に時間通り出席して発言したり話を聞いたりするのは「プロジェクトや目標の達成のために関係者が情報や現状を共有し議論することで達成へと近付くため」だから出席態度チェックがあるのに、いつしか「そのチェックが達成しないといけないタスク」みたいに捉え始めてみんな出席と態度に気を遣うようになっちゃった結果情報共有とか目標の確認が出来てない人がいる、みたいなことです。

つまり「浮気」の問題点はどんなことをしたかではなく「相手が他の異性に気が移ったことで傷ついたか」こそが本質であり核心なのに、その行為の内容が「浮気」という言葉の指す行為に当てはまるかどうかばかりを気にしてしまい「当てはまるから良くない、最低だ(紐づいた悪い印象を受けてしまっている)」みたいな見当違いの道を歩んでしまいます。
また芸能人が浮気を報じられたニュースやバズったツイートを見た全く関係の無い人たちも、同じような認識で的外れで価値の無い議論が燃えているのをよく見ます。

そしてそれは当の本人たちの問題なので、結局自分のことじゃない話には口を挟む余地も意味も無い、ってことですね。
なんか違う話な気もしますが。

目的は何だったっけ

同じことが当てはめられるなーと思う例をもうひとつ、「○○ハラスメント」です。
最近よく耳にしますね。
もううるさいかと思いますが、ハラスメントは何かしらの言動が相手に嫌な思いをさせることを指す単語で、問題となる場合の本質、確信はその「嫌な思い」です。

「彼氏できた?」という質問を大学時代の友達にされたら、もちろんある程度心理的距離が近いうえにそういう話になることも多々あるので大抵は「世間話」になりますが、仕事上の関係でしかない職場の上司に聞かれると「友好関係があるわけではない人から個人的なことを聞かれて嫌だ」と思われ下心の有無に関わらずセクハラになるかもしれません。

ハラスメントがその意味を定義されるべき対象は「嫌な思いをしているかどうか、またそれはどの程度か」であり、内容や行為そのもので計ることはできません。
特定の言葉や行為に「○○ハラスメント」という名前がついている、と(無意識にでも)思っている人は「それ○○ハラじゃない?」みたいな問題の本質とズレた確認だけをして終わってしまいます。
重要なのは「行為がハラスメントという言葉のイメージに当てはまるか」ではなく「嫌な思いをしているかどうか」だということです。

目的つながりで言うとドラマ『わたし定時で帰ります』とかちょっと前から始まった「働き方改革」がめちゃくちゃ賛否両論ありました。
「定時で帰ること」が問題かどうかというマジで意味の無い議論が生まれていましたが、定時帰りは自分のプライベートを確保したい人のための手段であり目的に据えるべきものではありません。

言葉は「先にものや考えが存在していたところに後から意思疎通をスムーズにするために付与されるもの」であり、ざっくり言えば手段です。
ある言葉を使う目的は「自分を含む複数の人たちの間に共通の認識を素早く呼び起こすこと」なので、使われた言葉たちそのものより話の本質とゴールを忘れずに考えるのが大事です。
ちょっと気を抜くとすぐ忘れがちになりますけどね。

逆に言えば、使われた言葉の端々には深層心理とか本音が現れているということもできます。
誰かの言葉に違和感を持ったり腹が立ったりしても、よく噛み砕いたり他の人に伝えてみたりすると違う視点からの気づきがあるかもしれません。

そして自分の言葉遣いも「出来るだけ正確に考えていることが伝わるようにもう一段考えてみる」ことができます。
例えばこのアカウント。
twitter.com
英語を覚えるだけではなく「普段使いする言葉ってもう一段階細かく言い分けることが出来るんだな」と気付きます。
スッと出てくるような普段使いする言葉は指し示す範囲がデカいことが多いので、より正確に自分の言いたいことを表す言葉をもう一段深く探す習慣をつけると誤解を避けることができそうかなと心がけています。

まとめ

  • 「どこからが浮気か?」とか「最近はすぐハラスメントだと言う」みたいな話は「その単語のイメージに当てはまるかどうか」を決めるのが目的になってしまっている
  • 名前がついていると便利ですぐ使ってしまうけど、それが指すものは何だったっけと考える
  • 知らんとこで起こってることに勝手に腹を立てない(完全についで)

雑記

なんで俺はこんな記事を書こうと思い立ったのか思い出せない。
これからスキを見つけていろんなもの書いてみたいなーと思います、リクエストあったらください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。